はじめに
前回、カントの義務論から「何故嘘をついてはいけないのか」を説明しました。
それに対する批判は以下の通りです。
①ヘーゲルによる批判
カントの義務論は形式的過ぎる。複雑な世の中を生きる人間には合わないので、 場面ごとの条件も考慮すべきではないか。
②シラーによる批判
なすべき!という規範に基づく行為は間違ってはいないが、そこに暖かい心があるかどうかが大切なのではないか。感情的側面を考慮すべきではないか。
なるほど〜確かにそうかも。
現代版嘘の3類系
ここでは、①の批判を受けて、現代に生きる私達の嘘における新しい形を検証したいと思います。勝手に3つ用意しました。
①コンビニスイーツ型
②TDL型
③敏腕経営者型
何言ってんだ?コノヤローという感じですが、順番に説明します。
①コンビニスイーツ型
悪意はなく円滑なコミュニケーションを続けて行く為につかれる軽い嘘です。
例えば、先週、上司に勧められたコンビニスイーツですが・・実はまだ食べてない!こりゃやばい!
別に誰も傷付かない。甘くて軽い。
これは、1対1ですが、10人以上のグループLINEやFacebookでいちいち「私食べてない」と言って空気読めよと思われる位なら、サイコーと言ってるクマのスタンプでも押せばいいんじゃない?みたいなノリです。今までも当然あった嘘の形ですが、SNSに乗って拡大しているうように感じます。
②TDL型
プライドを懸けた嘘です。
例えば「週末どこ行ってたの?」と聞かれて、素直に答えたとします。
この後「うちは東京ディズニーリゾートよ!しかも、ミラコスタに家族で泊まったわ!」「え〜伊豆より全然凄いじゃん!ホテルよく取れたね」「まあね〜」と会話が続きます。
後で他の友人から「あの子連休中ずっと公園にいたよ」と教えられてズッコける・・そんな感じです。
何に価値を置くかは人によって違います。
学歴なのか仕事なのか子供なのかリア充か。
Facebookの出身地や学歴の嘘も割と普通に目にしますが、いちいち指摘する人なんていないような気がします。
③敏腕経営者型
上の2つとは毛色が異なります。
他の人の倍速で生きている為に嘘をついているように見えることを指します。
1日は24時間というのは平等ですが、そこで生じる思考や意思決定等の量は人によって全く異なります。
例えば、自分や周囲の人々の1万倍、100万倍のスペックで物事を高速処理している人もいるわけです。
朝言ってることと、夜言ってることが全然違う。一見、嘘をついているように見えたり、敬遠されたりしがちです。
このタイプの友人や知人が何人かいますが、10代20代は実績がないので、誤解されて苦労してましたが、今は、経営者だったり教育者だったり、世のため人の為に活躍しています。
現代は、当時の何倍何百倍という情報を瞬時に入手出来るようになっています。従って、このタイプの人々の処理速度も超人的に上がって、相当な嘘つき呼ばわりされていることでしょう。それは、冗談です。
自分はどう対処するのか
結論から言うと、①と②の嘘はつかない、③の嘘は才覚がないからつけないです。
①コンビニスイーツ型
どれだけ些細なことでも嘘をついた気持ち悪さに支配されるのが苦手だからです。
②TDL型
土足で踏み込んで来たら撃つぞ〜みたいなプライドはありますが、日常で嘘をついて守る類のものでもないです。ただ、相手を思い遣る気持ちは忘れないようにしたいです。出来れば、嘘はつかせたくないです。
③敏腕経営者型
ただ、ただ、憧れるだけです。
近未来の映画見てるようで楽しいです。
以上、カントの義務論から嘘にまつわるetcを綴ってきました。
最初の、功利主義の考え方も含めて、嘘に対して絶対的な正解はないと思います。
情報技術の進化による日常生活におけるSNSの浸透からコミュニケーションのあり方も刻々と変化しています。
何でもありの乱打戦が始まります。
だからこそ、自分の母が子供達に送った巻物のような、揺るがない法則を個々人が持つことで、生きることがより自由で楽になれると思います。