慶應義塾大学通信教育過程の記録

文学部1類(哲学)を2020年3月に卒業!同大学社会学研究科博士課程合格を目指します。

【その他】ある女医の人生〜血の滲む努力の果てに〜 2018年 第3回科目試験結果

試験結果は最後に書きます。
これで慶應通信のテキスト単位は終了です。

ひとつの区切りとして、この記事を書きます。


f:id:nnaho:20181126211509j:plain


第一章 断固たる意志


蜩の鳴き声が夏の終わりを告げていました。


埃っぽい従姉妹の勉強部屋には西日が差込み
一面オレンジ色に輝いていました。


読みたかった本を手に取った瞬間、
ふと勉強机のボードが目に入りました。


1、日々の行動が、未来の自分を形成する。
2、目標とビジョンをもって行動する。
3、定期的に検証と反省を行い、計画を立てる。

10教訓でした。
それ以外にも、数々の貼紙。


無造作に束ねられた満点しかない定期試験の山・・


隣には、アルベルト・シュヴァイツァーの伝記が
置かれていました。



私はその場に座り込みました。



国立大医学部現役合格は伯母の夢であり、
従姉妹の由美子さんに課せられた絶対的ミッションでした。



「女の子なのに由美子ちゃん可哀想。鬼軍曹ひどい」


嫁である伯母は母や祖父母から影ではいつも
非難されていました。


違う。



そうじゃない。


医学部は・・医師になることは、



由美子さんの断固たる意思なんだ。



机からはキラキラした光の束が真っ直ぐに天井を突き抜けて伸びていました。


由美子さん、本気なんだ。


私が小4、由美子さんが中2の夏でした。

由美子さんは、いわゆるガリ勉とは程遠い人でした。


生徒会副会長、バスケ部部長、


手先がずば抜けて器用で、
キティちゃんやバービー人形の洋服を
あっという間に縫ってくれました。

優しくて、包容力があって、
その笑顔は心地よく、由美子さんといると、
ふにゃふにゃと溶けてなくなりそうでした。


月日は流れて、
私は中2、由美子さんは高3になりました。


200人程の田舎の中学で10番が精一杯の自分と


県内トップの公立高校で、首席は当たり前、
予備校系やZ会の模擬試験での全国10番以内が
絶対的ミッションの由美子さん


いやー同じ血が流れてるとは思えないよね!


両親の学力に差は無いから、
お母さんの育て方の問題でしょ?そんなー!
母や実姉とよく笑ったものです。



そして、その春、由美子さんは、
見事、現役で志望校に合格し、
医師への階段を登り始めました。




第ニ章 結婚、出産、そして育児


卒業した由美子さんは、
地元の総合病院の外科医として働き始めました。


数年後、医療関係者の男性と大恋愛の末、結婚しました。結婚相手は同じ医師であることを求めていた鬼軍曹は大反対で、なかば勘当に近い形での結婚でした。さらに数年後、女の子が2人産まれました。


進学のために18歳で地元を離れてからは、滅多に由美子さんと会う機会もなくなり、上記の内容は祖母や母からから聞いていました。


由美子さんと再会したのは、自分の出産で病院を訪れた時でした。


ふにゃふにゃの優しい笑顔は相変わらずで
私はとろとろにとろけてなくなりそうでした。


当時、由美子さんは、30代でしたが、
既に、次期外科部長として期待されていました。


「うわぁー!由美子先生の従姉妹なの?」
会うお医者さん、看護師さん、事務の方に至るまで全ての方が由美子さんに好意的で、由美子さんの手術や診察の凄さを話してくれました。


特に印象的だったのは、出産に纏わるエピソードです。

私もそうですが、由美子さんも、遺伝的に乳腺過多で母乳が出過ぎる傾向があります。

授乳期は、常に乳腺炎の危険が付き纏います。

万が一、母乳が詰まってしまった場合は40度近い高熱が出ます。

場合によっては、切開手術が必要となります。


そんな身体でありながら、2度の出産では、2ヶ月足らずで現場復帰しました。


一刻を争う患者さんのオペが待っているからです。

しかし、乳腺炎も一刻を争います。


診察やオペの合間に新生児室に駆け込んで搾乳する。
それを看護師さんが走って託児所に届ける。
まさに、連携プレーです。


こうして由美子さんは、乳腺炎という爆弾を抱えながら、沢山の周囲の人達のお陰で娘達の新生児期を乗り切ったそうです。


由美子さんと病院で働く仲間達との固い絆と厚い信頼関係は、出産、育児で培われたのかもしれません。



第三章 秘密のファスナー

昨年の今頃、
クリスマスのイルミネーションが綺麗でした。

詳細は省きますが、家族が大きな病気をしました。
余命も宣告され覚悟もしました。

由美子さんが執刀しました。
付き添った家族は全員が同じことを言いました。

「手術前の由美子さん、全然知らない人だった」


由美子さんは、
あの夏の日から、いや、もっと前、

医師を志した瞬間から何も変わらない。

断固たる意志と、絶え間ない壮絶な努力。


ふにゃふにゃの優しい笑顔、
背中にはファスナーが付いていてる。


患者とその家族の悲痛なまでの
生への願いを背負って、


由美子さんは、今日もメスを握る。
私達が見たこともない自信に満ちたクールな横顔で。




第四章 君の役目は何?


子供は比較しないという母親の教育方針のせいか、
由美子さんの人柄のせいか、特別に自分を卑下することもなく日々は過ぎていきました。


ただ、勉強や仕事で評価されても、
どこか醒めた感覚が抜けませんでした。


逆にどれ程厳しく深刻な状況に陥っても、
何日も徹夜が続いても、


由美子さんは、命を託されて、
今日もメスを握っている。


由美子さんが
最前線で指揮を執る戦場の騎士なら、


私は羊飼いだ。
大事な仕事だが、人命を託されている訳ではない。


気楽なもんだ。

状況が深刻だって?
このくらいは、余裕だぜっ!絶対何とかする!

そうプラスに働く一方で、

幼くして自分の使命を自覚し全うする姿を目の当たりにし続けていたので、焦りや不安は常にありました。


私はこれでいいのか?私は何をしてるんだ?


でも、最近気が付きました。
由美子さんのような人は少数派です。



そうでない自分は、余計なことをグダグダ考えず、
今羊飼いならその役割を真摯に全うすればいい。


そして、ある日、


突然ですが、最前線で指揮して貰えますか?
飢えに備えたシステムを考案して貰えますか?
と振られた時に、



いや、私、羊飼いなんで無理ですわ!
と断るのではなく、


分かりました!やってみましょう!!


と言える自分になろう。


いや、一生羊飼いでも全然構わない。
全身全霊をかけて、一流の羊飼いになろう。



自分の与えられた役割を120%全うしよう。
その為に私は勉強を続けよう。



おわりに

女医である従姉妹の由美子さんは、
私の人生に多大なる影響を与えた1人です。

行動規範の核であり、
慶應通信で学ぶきっかけにもなりました。

1年半前のブログ開始当初から、
ずっと由美子さんのことを書きたいと思っていました。

さらに、最近では、入試の点数を操作し、女子受験生らの合格者数を抑えるという問題も発覚しています。

長い間、先延ばしにしてきましたが、
今このタイミングで書こうという起爆剤になったのが、
下記のブログです。

https://www.wellintokyo.com

読んでみて下さい。
ああっ、
書評が良いので、本の買いすぎだけは注意です。

【2018年10月 科目試験結果】

・日米文化比論 (総論)B
・考古学 C
・オリエント考古学 A

いやー悔しい成績だなぁ、もう!

⭐️いつものです⭐️

【今週の慶應通信

・卒論 3章 自尊感情社会的比較
・全体修正

来週こそ3章仕上げよう!

【今週のダイエット】
46.0kg 寒さに身体が慣れたので45kgに戻そう