慶應義塾大学通信教育過程の記録

文学部1類(哲学)を2020年3月に卒業!同大学社会学研究科博士課程合格を目指します。

【専門科目】はじめに/「社会」の発見と社会学の誕生

はじめに

現在進めている慶應通信卒業論文と並行して、社会学理論の全体像を捉えるために日々学んだことを記録していきます。

教材として選択した「社会学の力」では、社会学固有の概念,方法,命題の中で最も重要な70項目を厳選し、現代社会学の魅力を伝えています。

1日3項目を目標に概念の要約し身の回りの問題と関連づけて考察をしていきます。

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ではいきます。


社会の発見と社会学の誕生

社会学の誕生は近代です。それまでは、自然と社会は同じ原理や法則が働いていると考えられてきました。


例えば、古代ギリシャ哲学では、万物の起源を水(タレス)や火(ヘラクレイトス)に求め、古代中国では、儒家思想の中核にあった天命という概念に現れており、自然の秩序と個人の運命は同じ枠組みで捉えられていました。


1.近代の起源

社会学は近代に誕生・・・。
では、いつから近代と呼べば良いでしょう?

それに対しては、ルネッサンス(14〜16世紀)からドイツ帝国の成立(1871年)まで、400〜500年の幅があります。しかし、市民革命及び産業革命が新しい社会誕生の原動力となったと考いう意味でフランス革命が起こった18世紀後半を近代の起源とすることが有力です。


2.社会学現象における規則性

それまでは、同一視されていた自然現象と社会現象ですが、独自のメカニズム、つまり規則性を発見しようという姿勢が社会学誕生につながりました。

社会現象における規則性の例

個人は自由に服装を選択しても良いにもかかわらず、他人と似たファッションになること

最近数十年のバレンタインデーに女性から男性にチョコレートを贈るろいう行事の定着


このように、社会現象における規則性は、
様々な人間の活動の集積として生み出されます。

ということは、規則性を変更すれば、社会を作り変えることも可能ではないのか?!

このような近代固有の認識を
丸山真男「自然に対する作為の契機」の優位と呼んでいます。


3.社会学及びその他学問の始まり

他の学問の誕生についてもおさらいしましょう。

近代における政治学、経済学の始祖
政治学:マキャベリ君主論』(1532)
・ホップズ『リヴァイアサン』(1651)
・経済学: アダム・スミス『諸国民の富』(1776)

社会学は・・・
社会学(sociologie)」
という言葉を提唱したコント(1798〜1857)

政治学の誕生からは250年ほど遅れていますね。

4.経済学や政治学に比較して誕生が遅れた理由

・明確な研究対象がなかったから
政治学=政治権力 経済学=資本主義の生成
社会学=人間の活動の集積、社会的なもの!?

フランス革命で混乱し将来の方向性が見えなくなってようやく科学の進展に裏打ちされた秩序ある社会の理想を提示するために社会学を構想したから


社会学誕生の背景に社会の混乱があったことから
『社会秩序の学』『近代自己認識の学』といわれています。


5.参考文献

・浜日出夫著『社会学の力ー重要概念・命題集』株式会社有斐閣社 2018年
・Durkheim.E 1895(宮島訳『社会学的方法の基準』岩波書店1978年)